矯正治療とは

矯正歯科についてご紹介します。
総額いくら? 矯正は本当に高いのか
綺麗に揃った歯並びは美しいものです。歯並びにコンプレックスがある人なら矯正治療にトライしてみようと考えたことがあるのではないでしょうか。
しかし金銭的な理由で歯列矯正を諦めてしまうという人も少なくないと聞きます。
一般的なワイヤーが見える矯正治療の費用はおよそ80万円程度で、決して安価な治療費用ではありません。ワイヤーが見えないようにする矯正治療ではさらに費用が掛かります。
ただ、口元の審美的な不調和だけでなく、歯並び噛み合わせの不具合のために身体に不調を来たしたり、ブラッシングが上手くいかないことで将来的に虫歯や歯周病を誘発するリスクを考えれば、一生の問題として矯正治療を考えてみるべきです。
矯正治療が必要な人とは?
矯正治療が必要な人の症状は、出っ歯(上顎前突)・受け口(反対咬合)・八重歯・乱ぐい歯(叢生)・開咬などが挙げられます。
出っ歯の場合はケガで前歯を折ってしまったり、くちびるを切ったりしやすいものです。受け口の場合は上手く噛むことができない、話をしても聞き取りにくいなどの症状が出ます。
八重歯・乱ぐい歯(叢生)はブラッシングがうまくできず汚れが残ってしまい、虫歯、歯槽膿漏になってしまう可能性が高まります。
開咬は、前歯が噛み合っていない状態です。前歯を使って食べ物を噛みきることが苦手で、発声も悪くなってしまいます。こういった問題や悩みを抱えている人は矯正治療を検討する意味は充分にあるはずです。まずは歯科医院で相談してみるといいでしょう。
見た目だけではない、歯並びが全身に与える影響
歯並びが悪いことで口の中の環境も悪くなりがちです。ブラッシングも難しくなり、虫歯になりやすくなってしまいます。根本的にブラッシングが難しい歯並びでは、治療しても虫歯が再発してしまう可能性が高くなってしまうためです。
歯石がたまりやすく、それが原因となり歯周病、口臭などの問題も引き起こされます。
それ以外の影響としては、噛み合わせの不整合により顎関節症が引き起こされたり、頭痛や消化不良が挙げられます。その他は首や肩こりなど、連携している箇所に負担が掛かってしまいます。
矯正治療の流れ 治療開始まで
1.初診・相談 |
患者さまが気になる部分を問診し、歯並び、お口元をチェック。当院での治療方針や費用などについてもご説明します。
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2.精密検査 |
矯正治療用に規格化されたX線写真を撮影、コンピュータを用いて様々な角度や長さが標準に比べてどうなのかを診断。成長期の患者さまについては手のX線写真も撮影し、今後の成長についても予測します。またお口の中、お口元の写真を撮影、歯型も採り、最終的な診断を行います。
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3.診断・治療計画の決定 |
検査結果をもとに、治療計画をご説明します。ケースによっては抜歯する場合、抜歯しない場合で予想される治療結果がどのように違ってくるかもご説明します。
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不正咬合(悪い歯並び)の種類
不正咬合(悪い歯並び)の種類について紹介します。
歯がアゴに入りきってない? 「不正咬合」とは
不正咬合とは上顎と下顎の位置がずれていたり、歯並びが悪いという理由で、上下の歯がしっかり咬み合っていない状態のことをいいます。
この原因は、先天的なものと後天的なものがあります。先天的要因としては、上唇や舌の小帯(すじ)の異常や唇顎口蓋裂などがあり、後天的要因としては指しゃぶりなどの悪習癖があげられます。
指をしゃぶるクセが直らずに続けていると上顎前突や開咬の原因になる可能性があるのです。
不正咬合になると、食べ物を上手に噛めない、うまく発音ができずに言葉が崩れる、聞き取りにくい発声になる。口を上手に閉じることができない、といった症状が出てしまうこともあります。
また種類によっては歯の一部が隠れてしまうため、ブラッシングがうまくできず虫歯や歯周病の原因になることもあります。不正咬合を治療しないと顎の関節に負担がかかり、全身が疲れやすくなったり、頭痛、肩凝りなど、噛み合わせの問題が全身に影響を与えてしまうこともあります。
日本人に多い「叢生」は不正咬合のひとつ
不正咬合にはさまざまな種類があります。歯並びがでこぼこな状態になっている「叢生」、前歯が反対に咬んでいる状態である「反対咬合」、上の前歯で下の前歯が見えない状態である「過蓋咬合」などが挙げられます。
日本人に多いのが叢生で、じつは八重歯も叢生の一種です。歯の大きさと比較して顎が小さいために歯がデコボコに生えたり、重なりあっていたりする状態です。叢生は見栄えだけでなく、ブラッシングがしにくいために虫歯になったり歯周病を起こしたりしてしまいます。
矯正したほうがいい不正咬合は?
顎変形症は、顎の大きさ、形状、位置関係が標準よりも大きく逸脱した状態をいいます。口を閉じても上下の歯が咬み合わないままで一部が開いている状態や、激しい反対咬合、上顎前突、顔面非対称などの症状のことをいいます。
こういった場合は骨格的な不正要因が大きいため、矯正治療と外科手術が併用されます。この治療には健康保険が適用されます。歯科医院にて相談してください。
マウスピース矯正
マウスピース矯正についてご紹介します。
金具が見えない? 「マウスピース矯正」とは
歯科矯正治療で気になるのは、やはり歯の表面に目立つ金具(ブラケット)を付けなければならないという点ではないでしょうか。
最近では透明ブラケットや白色ワイヤーを使った方法により見た目には矯正装置があまり目立たなくなってきましたが、歯の表面に装着することには変わりないので、装着感がどうしても気になってしまうという方も多いようです。
そこで注目されているのが透明なマウスピースを使った「マウスピース矯正」です。透明のマウスピースを装着することで、見た目だけでなく装置の装着違和感が改善された矯正治療が可能になりました。
マウスピース型とワイヤーを使うブラケット型、お勧めはどっち?
マウスピース矯正の大きなメリットは2つあります。
1つめは、一般的な矯正である「ブラケット矯正」のように歯の表面に金具が目立つことがないため、他人に知られずに矯正できることです。見栄えを気にする人や営業職などで歯を見せることが多い人には大きなメリットといえます。
2つめは、マウスピースは脱着ができるため、金具を使用するブラケット矯正と比較すると歯みがきがしやすいのでお手入れが楽という点です。
一方でマウスピース矯正は、ブラケット矯正と比較すると弱点もあるとされています。まず歯並びを大掛かりに矯正する必要がある場合は、金具を使用するブラケット矯正のほうが有利だといわれています。
そして、マウスピース矯正は気軽にマウスピースを取り外すことができてしまうために、億劫になって装置を使わなくなってしまえば元の歯並びに戻ってしまうこともあります。
着脱のしやすさはメリットでもありデメリットでもあるといえるかもしれません。マウスピース矯正は、自己管理能力が重要な歯科矯正といえます。
通院回数、治療期間はどのくらい?
歯並びや歯の状態によってそれぞれ異なりますが、一般的な治療期間は上顎、下顎どちらか片方だけの矯正であれば約3ヶ月~10ヶ月。全体を行なう場合は約6ヶ月~1年半程度とされています。
ただしこの想定される期間は、1日の装用時間をしっかり守った状態を維持するという前提になります。食事や歯磨き以外の時間は常に装着するというポイントを守ることで3週間経過すれば約1mm、歯が移動していきます。装着する時間が短いと歯も動かず、さらに治療期間が長くなってしまいます。
部分矯正
部分矯正についてご紹介します。
歯の一部だけが気になるなら! 部分矯正のすすめ
前歯の矯正に特化した矯正が「部分矯正」です。前歯が1本だけ傾いている、歯と歯の間にすきまがある、歯並びが歪んでいる。そういった悩みを抱えている場合に1本〜数本の歯を部分矯正することで整えるという治療です。
歯全体を矯正治療する場合は期間も費用もかなりの負担になりますので、奥歯の噛み合わせなどの問題がなく前歯の乱れを治す程度なら、部分矯正はおすすめできます。
人前に出る仕事をしている人なども美しい前歯の歯並びはイメージ向上などのメリットがあるといえます。
部分矯正で歯列不正を治せるかどうかは、噛み合わせに支障をきたさないかなどの診断が必要になります。
部分矯正はお高い? 費用と期間について
一般的な全体矯正治療の場合ですと、治療費はおよそ75万円~100万円程度となり治療期間は約1~3年程度です。
しかし部分矯正であれば治療費は20万円~40万円程度と、全体矯正治療と比較してリーズナブルになります。治療期間もおよそ1年前後となり、期間も費用も全体矯正治療と比較して身近に感じられるのではないでしょうか。
このため留学や結婚式など、人生のビッグイベントを控えている人が部分矯正を希望される場合が多いようです。
部分矯正でもワイヤーは必要?
部分矯正なら前歯に取り付ける装置(ブラケット)は不要なのでは、と思う人もいるかもしれませんが残念ながら部分矯正でも全体矯正と同じくブラケットの装着が必要になります。
ただし全体矯正と同じく、マウスピースを使ったものや歯の裏側から矯正する裏側矯正など他の人から気づかれにくい矯正も可能です。またブラケットに透明の素材を、またワイヤーに白色の素材を使用することで目立ちにくくすることもできます。
裏側矯正
裏側矯正についてご紹介します。
「矯正しているの?」 ワイヤーが見えない、裏側矯正とは?
いままでの歯列矯正では歯の表に金具などを取りつける矯正が主流でした。しかし「金具が見えるのが気になる」、「矯正中だと気づかれたくない」などのニーズが高まり、それに応えるべく「裏側矯正(舌側矯正)」が登場しました。
この裏側矯正は、いままで歯の表に取り付けていた金属またはセラミックのブラケットとワイヤーを歯の裏側につけることで、装置が外から見えなくした治療法です。裏側矯正には「フルリンガル(上下裏側)」と「ハーフリンガル(上顎は裏側・下顎は表側)」の2種類があります。
フルリンガルとは、上と下の歯の裏側すべてに装置を取りつけて歯を移動させる治療法のことです。 日常生活においては外から見ても矯正していることはわかりません。営業や接客などのお仕事につかれている人や人前に出るような芸能関係の人はこの治療法を行なっている人が多いようです。
ハーフリンガルはフルリンガルと違い、上の歯は裏側に、下の歯は表に矯正する装置をつける治療法です。
裏側に装置を装着するのは上の歯だけなので、比較的矯正しているとは気づかれにくく、発音のスムーズさや舌の不快感も軽減されます。装置は多少見えてもかまわない。快適に生活しつつ矯正したいという方はハーフリンガルを選ぶことも多いそうです。
普通の矯正より裏側矯正は高い? 気になる費用は?
おおよその費用はハーフリンガルで100万円前後、フルリンガルで110万円前後となっています。
メタルのワイヤーを歯の表側に装着する通常の矯正で70万円から90万円程度と考えるとたしかに差はありますが、矯正器具が他の人から見えてしまうという点を職種として避けたいという方にとっては非常に大きいポイントです。
しゃべりにくくなる? 裏側矯正の注意点は
裏側矯正は歯の裏側に装置がつけるため、矯正を始めたばかりだと発声時の舌の動きに違和感を覚え「話しにくい」と感じる方もいらっしゃいます。具体的には、舌を上前歯の歯茎付近に付けて発音する行である「サ行」・「タ行」・「ラ行」の場合が発声しにくくなる方が多く、若干舌足らずな発声になるようです。
英語の「th」の発音もちょうど舌が当たってしまうのできれいな発声が難しくなります。しかし、多くの方が徐々に装置に慣れ、スムーズに発声できるようになります。
インプラント矯正
インプラント矯正についてご紹介します。
インプラント矯正とインプラント治療はまったくの別物
インプラントといえば、虫歯などで失った歯のかわりに人口の歯の根を埋める「インプラント治療」を想像する人が多いのではないでしょうか?
インプラントとは体の中に入れる医療機器や材料の総称なのです。有名なところでは人口の関節や美容のためのシリコンがありますが、これもインプラントの一種です。その他では心臓ペースメーカーもインプラントです。人工の歯の根を埋める治療は、正確には「歯科インプラント」と呼ばれています。
今回紹介するインプラント矯正というのは歯科インプラントと誤解されやすいのですが、実際の治療内容についてはまったく違います。インプラント矯正はその名の通り、インプラントを活用した「矯正治療」のことです。
いままでの矯正と大きく変わる? インプラント矯正とは
インプラント矯正は小さなネジを歯肉下の骨に埋め込み、歯を動かして整えていくときの固定場所(アンカー)として使用する方法の矯正治療です。
歯科インプラントで使用するインプラント体のように大きなものではなく、直径約2㎜、長さ約10㎜のチタン合金製の非常に小さなネジを使用します。これを軸として固定することができるので、一般的な矯正治療と比較しても大きく歯を動かすことが可能です。また比較的短期間で矯正を行なうことが可能となります。
矯正用のアンカーの埋入は1本につき10分程度とかなりの短時間で完了します。大掛かりな手術は必要ありませんが局所麻酔はすることになります。矯正が終わり次第、インプラント自体は取り外します。
金具が表から見えない裏側矯正とインプラント矯正を併用することも可能です。「金具が見えない」、「期間が短い」と一挙両得の矯正方法と言えます。
どんなリスクがある? インプラント矯正のデメリットは?
歯磨きが上手くできていないと、矯正用のインプラントにもプラークと呼ばれる歯垢が付着して細菌繁殖で感染を起こしてしまうことがあります。これによって歯肉が腫れたり出血することもありますので、インプラントの周辺は清潔に保つように注意する必要があります。
また治療中にインプラントが外れてしまうことも稀にありますが、その際には別の場所にインプラントを埋めることで解決できます。